Finland & Iceland Day33

朝5時、朦朧としながら空港のベンチにて起床。気がつけば周りには数人のバックパッカーたちが雑魚寝していた。アイスランド行きのフライトまでの時間、今日一日何をしようかと計画を立てる。とりあえず、電車でヘルシンキ中央駅まで行くか…。ユーレイルパスがあるので何も考えず、ふらっと中央駅行きの電車に乗った。

 


到着してまずは重い荷物をコインロッカーに入れ身軽になった。またどうしてもトイレに行きたくなったが、あたりを見渡しても見つからず、地下に行ったりうろうろしたらやっと見つかったものの、ドアの開け方はキオスクに聞いてくださいと書いてあった。え、どういうこと?勇気を出してキオスクのおばちゃんに、トイレ行きたいんけど…と尋ねると、この店の後ろにあるわと別のトイレを教えてもらった。とんだ騒動であった。

 


建築にも宗教にもまるで詳しくないが、歩いていける距離とのことで、王道のスポットに。朝はまだ早くひとが閑散としている。そして寒い。12度。7月になったというのにさすが北欧である。もう少し行くと、港周りにマーケットが開かれているというので行ってみることに。フィンランドらしいお土産や朝市のような青果市、屋台が並ぶ。店もぽつぽつ開店し始め、ぐるっと周りながら遠目で見たりしていると、ニットのお店があって、トナカイ柄をあしらった帽子や靴下、カーディガンが出ていて、思わず見入ってしまった。そして紺のニット帽を買ってしまった!手編みで一点ものと言われたらそりゃあね。

 


あと、サーモンクリームスープを食べた。最初お店に行った時はまだできていないといわれ、15分後にもう一度行ったら提供してくれた。美味しくないわけがない。鮭とラズベリーが沢山あるなんて素敵な国だ、ここは。

 


目的地もなく街を歩きながら、ネットでおススメを調べつつ行ってみると、開店してなかったり、遠すぎたりで結局、駅から徒歩30分圏内を歩きながらウィンドウショッピングをする感じ。と言っても何も買ってないが。あと、スーパーマーケットはやはり面白く、つい時間が過ぎてしまう。アイスランドに行ったら物価が高いというので、シリアルやインスタントスープなど、保存できるものはここで買った。そしてお惣菜売り場で、鮭のパスタを買ってしまう。これはランチにと、歩いて見つかった公園で食べた。

 


そうこうしていたらいい時間になり、中央駅へ戻り、ロッカーを開けようとするもカギが見当たらず焦った。よくよくカバンを覗けばあったのでセーフ…。まだ時間があるので急ぐ必要はないのだが、あと1分で空港行きの電車が出てしまうことがわかり、ダッシュするものの間に合わず。10分に1本あるなら焦らなくてもいいんだけどね、つい。隣には長距離列車のサンタクロースエクスプレスが停まっていた。あー、行きたかったな、ラップランド。トナカイ牧場とハスキーと、サンタさんに会いに…。けどツアーが人数足らずで申し込めなかったので、神様が今回はやめろと言っていたに違いない。今度は冬に、オーロラを目的に是非来ようと思った。

 


電車の中でうとうとしていたら、何を思ったのか空港の1つ手前の駅で降りてしまい、10分ほどまたロス…。疲れているのか、私。

 


チェックインは結構混んでいて、というか前の人がトラブって窓口が1つしか動いていない状態だったので、かなり並んだ。それを済ませた後、ゲートまでお土産屋を見たりして、搭乗を待った。

 


18時20分テイクオフだったはずなのに、遅れて19時発に。フィンランドデンマークより1時間早いが、アイスランドフィンランドより2時間遅いので、昨日から時差があっちゃこっちゃしている。まあ、今はどこも北欧だと日が長いのであんまり太陽が参考にならないのだが、今日は26時間という長い1日だ。

 


アイスランド到着。飛行機の窓から見える景色は今までにないもので、平らで何もなかった。荷物受け取りの後、レイキャビク行きのバスへ。記載より値段が高かったが、まぁ仕方ない。予約しておけば良かったと少し後悔。バスで45分ほどで市内に到着。多くの旅行者はそこからマイクロに乗り換えてホテルまで送迎という感じだが、私は歩くことにした。同じようなドイツ人の女性と話しながら、彼女は馬の世話で2ヶ月ほどアイスランドに滞在するそうで、今までの旅路のことなどを話した。途中で別れ、40分ほど4kmを黙々と歩く。普通ならなんともないのに、荷物が重いと歩みが遅くなる。しかも、なぜだが歩道が複雑で、車両道路から離れたり近寄ったりしながら、反対側へも渡りにくい。途中自転車のおっさんや、単車の若者に冷やかされながら、やっとのことでホステル到着。しかも、このホステルは無人で、受付の人などはなく旅行者が全て自分でやる感じ。なんだか新しいスタイルで、注文の多い料理店みたいだなと思った。

 


時刻は23時をまわったので、寝ることに。とても長い一日だった。

 

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Denmark Day32

朝は作業せずたっぷり時間をもらいパッキングと使ったものを片付けたり、手紙を書いたり、次のことをを調べ物した。次にアイスランドではなくスイスに行くと言ってしまっていることが心残りだが、まあバレることはないだろうけど、とっさに言ったことを貫き通さなくてはいけない嵯峨でした…。

 


9時ごろになって搾乳から帰ってきたEreneがコーヒーブレイクの準備をしてくれた。あぁ、ラズベリージャムが名残惜しい…。

 


別れの時、彼女から彼女の母が作ったニットの靴下とデンマークの布で作ったエプロンと、手紙とお金を頂いた。ライ麦パンのサンドイッチやオレンジジュースも持たせてくれた。とっても助かったって。本当にいいのに…。こちらこそ美味しいご飯と、快適なベッドと素晴らしい経験や出会いをもらったのに。こういう時、素直に受け取れなくて困る。

 


Evaldに駅まで送ってもらう。デンマークの酪農家は1980年には46000戸あったが今では3500戸。10分の1以下になってしまった。しかし、生乳の生産量は変わっていない。1戸あたりの農家の飼養頭数と1頭あたりの生産量がどれだけ伸びたかわかるだろう。彼が就農した当時、前のオーナーは2頭牛がいてそれぞれ3本と2本、盲乳だったことを笑いながら語ったそうだ。Evaldはその2頭を合わせて27頭からスタートした。今は180頭。でも少ない方だ。けれど、昔の方が楽しかっただろうと思い浮かべることができる。大量にはいらない。満たされるちょうどだけ、質の高いものを作ればいい。農業国デンマークと、自給率40%の日本が抱える問題はまるで違うが、この国から学ぶべきことはとても多くあった。

 


駅で電車に乗るまでEvaldは手を振ってくれた。手紙をあけると1500DKKも入っていた。かたじけない。

 


SilkebogからCopenhargenへ3時間半。急遽とったヘルシンキ行きの飛行機は18時テイクオフである。

 


デンマークに来てあっという間に1ヶ月が経った。本当に農場にしか行ってない笑。しかしこの国を支えるHyggeの精神、幸せを生み出す努力、伝統的な食べ物を感じることができた。彼らにいつかもう一度、会えるだろうか。もちろんそうしたい気持ちはある。けれど、わからない。もし会えなかったとしても、誇れる生き方をしたいと思った。

 


14時半頃コペンハーゲン到着。電車の頃から全然simが機能していないのだが…。席も空いていなく、出入り口にバックパックを敷いて、そこに座って過ごした。空港行きの電車に乗り換え、空港に到着し、旅行中に飛行機の予約、搭乗という初チャレンジ。eチケット控えもなく、チェックインをドキドキしながら待っていると、オーバーブッキングでスタンドバイだからなんとか…って言われた。とりあえず、OKと返したが、何もOKではなかった。空港のwifiでやっと調べて、スタンドバイとは満席でキャンセル待ちだと…!?

しかしがながらゲートに行くとちゃんとチケットがもらえたので、まあ良かった。

 


そんなにお金を使っていないので、手持ちともらったお金をアイスランドクローヌルとユーロに変えた。時間はふんだんにあるので、ショップを周り、欲しかったUrtekramのシャンプーなどは見当たらなかったものの、お菓子を買ったり、サンドウィッチを買ったりした。

 


スタンドバイだったもののなんとか飛行機に乗り21時前にはヘルシンキに到着。24時間営業のスーパーで軽食を買う。今日はここで空港泊。明日は日中ヘルシンキの市街でぶらりした後、18時のフライトでいざアイスランドへ!テルーの唄をアイスランドの滝や苔を見ながら聴くのが夢だったのです。それもついに叶う時が!空港はベンチが多いけど、深夜に向けてなぜか人が増え始めた…。とりあえず仮眠。

 

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Denmark Day31

朝6時半、チーズ工房へ行く。入ると私の名前が書かれた紙が置いてあり、白い作業着に着替えた。消毒槽を通り抜けた後は、工房の中に大きなバルククーラーがあり、さっき絞った生乳がそのまま工房の方へ来る仕組みとなっていた。500Lの槽が2つあり、すでに片方はレンネットを入れて今まさにカッティングするところであった。チーズは熟成度の違いや水分量なども含め7、8種類を常に作っており、週4回作る。ファミリエは2人。今日はハード系を作るらしい。私は本当に手伝える事もないので、見て疑問点をどんどん質問した。生産されたチーズは自分のショップが2割、8割はNatural milkというオーガニックの乳業会社に流通を任せている。パスチャライズせず、生乳からそのままチーズを作っているところは、デンマークで2件しかないらしい。より、フレーバーに、また生産から消費者に買われるまで一貫して行いたかったEvaldのマインドのもと、チーズ工房は始まった。

 


乳酸菌の投入、レンネット投入、カッティング、ホエーの流出、プレッシングして水分を抜く、型詰…の工程を見た。また発酵バターの仕込みも。ホエーは捨てないでTMRの水分として混ぜるそうだ。また子牛に飲ませてもいい。乳糖やその他の栄養はまだ残っているので、とてもいいと思ったし、嗜好性も悪くないらしい。

 


チーズは世話の焼ける子たちである。ちゃんと面倒見てあげないと、変なカビが生えたり、腐敗したり、発酵が進まなかったり。特に殺菌していない牛乳を使うならなおさらで、これはフレッシュじゃなく、ハードでないと認証を取るのが難しかったようだ。日本の特別牛乳のように、食品安全の機関が年に何回も調査に来る。チーズまで作るのに、実に様々なことを考えなくてはならない。季節によって乳脂肪、乳タンパクの含有量は変化するし、湿度、気温も違う。少しでも質が低いミルクはちゃんとしたものにならない。バクテリアやファンギが作った有機質の土から牧草、ルーメン細菌、牛、ミルク、チーズ…実に多くの過程や生物の手を借りてチーズはできる。

 


ショップの中も見学し、農家である絵本作家が描いた絵本や、オーガニックのお菓子、石鹸、Ereneの母が作ったニットの靴下や赤ちゃん用の帽子が売られていた。牛の置物やバケット缶も置いてあり、オープンの日はお客さんが自由に牛乳を飲めるようになっている。

 


昼過ぎにチーズを作る作業は終了し、15時からの搾乳に備えて休憩した。

 


今日はここで働いている日本人女性の方とそのご両親が来られるそうで、さらに知り合いの農家が集まるそうで、ちょっとしたプチパーティーが19時から催される。ので少し早めに搾乳開始。初日よりだいぶスムーズになったかな。けど私は搾乳早い方じゃないし、早くやるのも好きではない。無心がベストである。蹴られても落とされても、あーあー、くらいに構えてた方が楽だもの。

 


パーラーを洗い始める頃、Evaldが作業を代わってくれ、一足先にシャワーを浴び、パーティーの準備をほんの少し手伝い、人々が集うのを待った。Evaldの家族や知り合いの農家、日本人のご家族合わせ14人ほど。押し寿しやお好み焼きが並び、まさかデンマーク日本食を食べるとは…。つくづくラッキーである。デンマークは日本人の人、少ないと思っていたが今回2人もの素敵な女性に会えて縁があったなぁと思った。彼女のご両親と話したり、WAGYUを育てている75歳のおじいさん農家と白熱教室した。最初はシャロレーにオランダ経由の和牛精液を合わせ、F1にまたかけての繰り返し。75%以上和牛の血であれば、クリーンであると言える。今ではVikingで販売されでいるWAGYUストローを使い、4頭のクリーン和牛がいるという。この方の牧場でも先駆けて日本人女性がワーカーとして働いていたらしい。いろんな場所に、色々な人がいて驚くばかりである。

 


デザートに手作りのアイスなどを頂き、10時をまわった頃、皆んな帰り始め、彼女もご両親と帰り、Ereneもベッドへ行ったため、Evaldと二人で話すことに。人生の時間は思ったより短く、やりたいことをやらなくてはいけない。そしていつもポジティブに。農家を始めるのには急がなくていい。色んな場所に行き、色んな人に出会い、多くの経験を積んでからでも遅くない。それが糧になっていくから。そして始めたからには、自分の芯を通して、反対する者は沢山いる、時間もかかる。でも辛抱強く待っていればいつか世間が追いついてくる。今日を少しだけ頑張ったら、明日はほんの少しだけ良くなる。それを積み重ねればいいんだ。こんな内容だったと思う。彼やフレデリックはパイオニアだった。今オーガニック先進国となったデンマークの始まりは彼らだった。彼らは需要を満たすだけの生産力を身につけた上で、一周回って、持続可能なやり方に切り替えつつある。日本は、もしこれから農業者を増やして行くとしたら、そしてその人たちが初めから持続可能を意識するとしたら、より早く、同じ土俵に立てるのではないか?少ない自給率の中、安心安全made in Japanを語るのなら、早くそれを実行しなくては。と、思った。

 

日付が変わった頃、就寝。日記を書いていたが寝落ちしてしまったみたい。

 

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Denmark Day30

朝は6時過ぎにパーラーへ。今日はErene1人で搾乳していたので参戦する。作業を終えたのは10時頃。彼女が焼いたスコーンとパンでコーヒーブレイク。

 


Evaleが25km離れた集草地に連れて行ってくれるというので、でっかい牽引を繋いだトラクターに乗り込む。機械が高いので牧草作業の一部をコントラクターに依頼しているそう。ここではベール作業を業者に頼んでいる。行く道々で牛舎を見かけたり、コーンをやっているところはコンベンショナルであると教えてもらったりしながら30分ほど。湖が見えてきて、その手前に育成牛を放している。ローダーではなく、トラクターの前方にフォークをつけて、塊となったヘイベールを拾っていく。彼が拾っている小1時間の間、私はそのへんをぶらぶらしたり、湖に近づいてみたりしながら過ごした。育成牛たちは大きなかける音をさせながら逃げて行ってしまった。

 


36個のヘイを積み、これで公道走るのハードだなぁと思いながら、帰り道。45km/hくらいは出していたんじゃないか…。

 


荷を下ろすのを少し手伝い、15時まで休憩をとる。少しうつらうつらした。下に行くと、家族が集まり、ツナやポテトラサダなどでセルフサンドイッチ。搾乳前の腹ごしらえは重要だ。娘さんとEvaldは仲が良く、みていると暖かい感じがした。

 


搾乳と哺乳を済ませて、シャワー、夜食、寝るのパターン。Ereneは2週間近くずっとほぼ一人で搾乳していて凄いと思った。明日の午前中はチーズ工房を見学予定である。

 

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Denmark Day29

お言葉に甘え、6時ちょい過ぎにパーラーに行くと、もう搾乳が始まっていた。途中参加して9時半頃に作業を終える。

 


コーヒーブレイクした後、子牛の世話へ。Ereneの姿が見えず、彼女は今日はチーズショップの店番だという。子牛の世話一人でできる?できるよね?とまたいきなり任されてしまった。ミルクをやり、水をやり、ストローをつぎ足し、ペレットをやる…。子牛は餌槽をすぐ汚すので、洗ったりなんなりしていると、vikingの授精師が来て3頭ほどAIしていった。ここでは、授精師が妊鑑まで行うそうで、農家が作った会社だけあってお互いの信頼感は強い。

 


授精が終わった後、育成牛舎から鳴く声が聞こえるので行ってみると、スタンチョンに頭がつかえて動けない奴を発見。押したり引っ張ったりしてなんとか抜けた。こういうことが起こらない作りにしたいが、挟まったり、引っかかたり、転んだり、想像しないことがよく起こるものである。

 


その後、ストローを乾乳牛のところへ敷くのを手伝った。その途中、放牧中の牛が電牧を破って脱走。ほらやっぱり想像してないことが起こる…。

 


休憩をもらい、午後の搾乳まで昼寝した。下に行くと、搾乳前の腹ごしらえにライブレッドやサラダや肉のプレートが出された。サラダはズッキーニ、レタス、トマト、セロリと、ソバの実をローストしたものがかかっていて、こうやって食べるのもアリだわ…!!と気づいた。

 


そして搾乳と哺乳。Evaleと途中までやり、Ereneと彼は交代し、最後まで彼女と作業した。パーラーでDanishのジュースを飲む。

 


シャワーを浴び、夜食に牛肉のハムをパンにのせたやつを食べ、Ereneと少し話した後、ベッドに着く。

 

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Denmark Day28

今いる牧場はOsteriet Hingeという。私は数年前、この牧場について書かれたブログを読んだことがあり、印象的だったので覚えている。その牧場に自分がいるなんて…。農家たちの寛容な懐ぶかさに感謝である。チーズも自分たちの牛乳を使って2人の職人が作っている。生乳を使うチーズもあり、認証は難しかったそう。自分のところのショップと、オーガニックデイリーカンパニーであるnatural milkに週に一度出荷。月曜日にチーズ作りを見せてくれると言う。

 


4時半から搾乳と哺乳を9時半まで。普段は1人でやるらしく、200頭を1人は大変だ。私は搾乳は無心でやるのであまり苦でもない。好きでもないけど。途中、乳房炎の牛がいた。オーガニックの規定では、休薬期間が通常の倍、ペニシリンなら3日を6日に、コルチゾール系なら2日を4日にしなくてはならないが、薬を使っていけないわけではない。ただし、農家自体が使うのではなく、獣医師を通さなくてはいけない。体細胞高のミルクは哺乳へ、やはり粉ミルクは使わない。調子悪の牛が一頭いて、中年の獣医師がやってきて注射していった。

 


コーヒーブレイクに家に帰り、ライ麦パンやスコーンを食べた。自家製のチーズも頂いた。どうやってオーガニックの基準を決めたのか?や日本が進んでいないのはなぜか?などを話し合った。デンマークは食料自給率300%。より多くを他の国々へ輸出している。牛乳に至っては、国内消費は15%に過ぎない。自分たちの食べるものはより質の高いものへ、環境に配慮されたものへ。この需要があるから価格高めのオーガニックも普及できる。一方日本。自給率40%。ただでさえ食料が足りていないのに、需要はあるのだろうか。いやあるんだろうけれども、そもそも畜産国ではないのだから、いっそほとんどを輸入してしまったらどうか。だってチーズも牛乳も肉もこっちの方が美味しいし、コストの半分を餌代が占めるくらいなら…。と思ってしまう。さらに、今ビーガンブームであり、ヨーロッパ諸国は肉の消費量を減らすよう努力し始めた。日本は何を目指せばいいのだろう。もちろん、人間の健康にも地球にも優しいのは、米が主食の粗食に戻ることだろうが、それは無理であるし、畜産製品のおいしさを知った現代人は、どこまで輸入に頼り、自給するのか…。うーむ、わからない。後、オーガニックでやると言っても、コンベンショナルに近いところもあれば、フレデリックのように自分を貫き通している人もいる…。答えなき質問がぐるぐるした…。

 


哺乳を手伝い、15時まで休憩。日記を書くのと、調べ物をして、うとうとしていたらあっという間に時間が来てしまった。

 


パーラーに行くとEvaldの姿がなく少し待った。彼がやってくると、コーヒー飲みに行くけどどう?とのこと。部屋でミックスナッツをたくさん食べちゃったし、マフィンも食べたのでいいと断ると、じゃ先に始めてて、とミルカーのセットをしてまたいなくなってしまった。いきなり任されるパターンである。1人で始めて先発隊が終わる頃に彼が戻ってきた。アイスクリームを持って。え!パーラーの中で食べるの?!片手にアイス、もう片方にデッピングと独特のスタイル。私も渡されて、ごうにいらばごうにしたがえ、初挑戦である。そういえば朝、コーヒーにダイレクトで乳からミルク入れてラテにしていたような…。

 


淡々と作業を進め、パーラー洗浄、哺乳までしたら21時だった。15時半頃始めてこの時間か…。ただ、ワーカーのフルタイムは週数にすればそんなに多くないらしい。2週間のうち、4日はフルタイム、6日は半日、4日は休み。休む大切さをちゃんとわかっている牧場だった。

 


帰ってシャワーを浴び、Erenaがオープンサンドウィッチを作ってくれた。牛肉をハムにしたやつで、めっちゃおいしいやん!1番下の息子さんが帰ってきており、4人で食卓を囲んだ。彼は今日ホルケホイスコーレを卒業して、明日から友達とアイスランドに行くらしい。私も行くんだとは言い出せなかったので、何するの?どこ行くの?というのを聞きながら会話を繋いだ。デンマークビールを飲みながら話していると、やはり、海外農業研修の受け入れ農場だったみたい。そういえば…と思ってYouTubeを開いてみると、紹介動画で彼の姿があるじゃないか…!以前、私はこれ見たぞ。考えを変えて参加しなかったけど、wwoofしながらここにたどり着けてよかったやん、と思った。今年からデンマーク政府の規制が変わったらしく、研修生を受け持つのは難しくなったみたい。

 


23時頃に床についた。明日の朝はゆっくりしていいよと言われたので、6時ごろ行こうかな…。

 

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Denmark Day27

5時ごろにもぞもぞ起き、Kristenからあなたの宿題よ、と言われていたwwooferの訪問記を書く。前のページには今まで歴代の人々がびっしり。私は最後から数えた方が早くなるかな…。2人への感謝や将来頑張りたいことを書いた。

 


朝の搾乳、哺乳。途中、7時から出勤のKristenがお別れの挨拶に来た。あなたは日本でfarmerになるのよ、そう言ってくれた。

 


最後のコーヒーブレイク。あー、もう手作りブレッドが食べれなくなる…。マーマレードもチーズも熱いコーヒーも噛みしめて。お茶の時間がいかに大事か思い知った。16時におやつを体に入れると、最後まで全然頑張れる。復活度が違う…笑。最後まで会話は農業。乳製品の消費量30%はオーガニックだが、肉はまだまだ少なく、価格の面で圧倒的にノンオーガニックが安くなり、普及させていくのはまだまだ難しいところだが、だんだん来ているらしい。デンマークでもブタの餌は南北アメリカから輸入している。

 


パッキングしていると、なかなか思い通りに入らず頑張って押し込む。もらったお土産や蜂蜜などがかさみ始めている。車はKristenが仕事で使うため、最寄りのOmmeという街まで、フレデリックと3kmほどの道のりを自転車で行く。彼の倉庫にはなぜか大量の自転車があり、使えそうなやつを出してきてくれた。バックパックを背負って足をかけると、ペダルに届かず、そのまま後ろの重みでバランスを崩し、地面へビターンと倒れた。見かねたフレデリックが荷物を持ってくれた。70歳の方に15kgの荷物を背負わせるという…。

 


10分ほど自転車をこぎ到着。バスを待っている間、トラクターについて話したりした。Herning行きのバスが到着し、フレデリックに別れを告げ、出発。本当に、今までで1番理想に近い牧場だった。彼は手堅く牛の世話をし、殆どのものは自分の手で作り、生活は質素だったが充実していて、全てのことを1人でこなした。その裏側には綿密に考えられた計画と、経験が詰まっていた。

 


Herningでバスを降り、電車に乗り換え、Silkeborgという街まで行く。12時半に到着し、トイレに行きたかったが有料で2クローナ払ったのにもかかわらず、鍵が開かなくて入れなかったという…。しばらく待っているとEvaldが迎えにきてくれた。理容室に行きたいんだけど、適当に時間潰しててくれる?と言われ、もちろんOKとりあえず駐車場を探すが、今日は殆どの学校で学生の卒業式なので、あちこちパーティしており、学生を乗せたお祝いトラックが走り周っていた。やっとの事で車を停め、Evaldがオーガニックショップやカフェの場所を教えてくれ、さらに200クローナくれた。オーガニックショップはとても面白く、食品はもちろん、食器、服、美容品、絵の具などもあり雑貨屋さんだった。家畜が描かれた小さなポスターを見つけ購入した。

 


思えば都会にはあまりきておらず、街を歩いたのは初かもしれない。デンマークの町並みは、あぁ、ヨーロッパにいるんだなぁと思わせてくれる感じ。色々な店が並ぶのを遠目に見ながらスーパーに立ち寄り、色んなものを見た。

 


そしてアイスクリーム屋さんに行く。列ができていて20分くらい待った。フレーバーの名前がわからないので、色のみで注文。真っ白なやつと真っ黒なやつを頼んだ。私は緑色と黒色の食べ物に惹かれやすく、緑なら抹茶、ほうれん草、よもぎ、ピスタチオ…など、黒なら黒ごま、イカ墨、炭…などだろうか。ワクワクしながら食べると、あ…この味は…リコリス!北欧は黒=リコリスなのね…。ただ、サルミアッキよりは強い味はせず、おいしかったし、白はミルク系かと思っていたが、爽快な味がして、多分エルダーフラワーか何かだろう。お腹膨れた。

 


程なくしてEvaldがやってきて牧場へ。200頭搾りのオーガニック酪農家。今まで7人の日本学生の研修を受け入れたことがあるらしく、私は海外農業研修の受け入れ先農家じゃないだろうかと思った。現在、1人の日本人女性を雇用しているらしい。彼女は明日帰ってくるみたい。

 


到着すると奥さんがオムレツやサラダを作っていてくれて、ご馳走になり、程なくして搾乳へ。休んでいてもいいよと言われたが、5日しか私にはないし、できる限り参加したいので、私も着替え搾乳した。12頭ダブルのヘリンボーンパーラー。そうだよ、これが普通の搾乳だよ、今までのは夢だったんだ…と思いながら、無心で搾乳。もちろん草や食べ物にケミカルは使われていないし、大変な苦労はバックグラウンドにあるのだが、普通の農場のように忙しい。200頭を1人で搾ると言うから凄い。気づけば21時。日が長いので時間感覚がわからない…。子牛たちにもミルクを与え、作業を終えたのは21時半。

 


シャワーを浴び、デンマークのテレビを見ながらコレスコーレとアイスクリームを頂いて、部屋に帰って即寝た。だって明日4時半から搾乳だもん。

 

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