Denmark Day26

英語では乳牛たちのことをsheというので好きだ。日本語では彼女たちは、とはあまり言わない。本日も朝から彼女たちを集牧して搾乳である。頭数が少なく、一見簡単に見えてもよく考えられた搾乳だと思う。足をあげるやつは1頭しかいないし、ミルカーが6個しかないので、渋い子がいる反対側のパーラーは5頭にする等、牛たちの協力のもと、極力スムーズに行くようにできている。

 


体細胞が多い牛は何頭かいるが、乳房炎はいない。もし病気になったらどうするのか。オーガニックだから薬が使えないのでは…?と思っていたがそうではないらしい。薬で治るものは、獣医師と相談のもと、倍以上の休薬期間を設け、また年に3回という使用制限もあるが、全く使っていけないわけではない。ホルモン剤は使えないので、ETはできない。また粉ミルクも(今はあるかもしれないとフレデリックは言っていた)オーガニックを始めた当時は使えなかった。草も、もちろん除草剤や殺虫剤はダメなので、年に一度春に撒くコンポストで栄養を支える。また数年に一度は穀類と草、放牧地を輪作し、Nが足りないところではルーピンを作付けするなどしている。土壌診断は年に一度。13haそれ以上で200個のロールサイレージを作り、冬の半年間で消費する。デントコーンや草作りはコントラクターに依頼して、機械類を極力持たないようにしている。親牛には1日3から4.5kgの濃厚飼料を与えている。乳脂肪率は平均6%を超え、冬時期は8%になることも。乳蛋白も4%以上を維持。乳量は出ないと言っても、乳脂肪率で換算すると30kg近く泌乳していることになる。デンマークではMS換算で乳価が決まるので、乳量を追う必要はない。子牛たちは目がプリプリで生き生きしているし、よくなつき、ハンドリングも簡単である。判別精液は使えるので後継牛はコントロール。ストローは70DKK〜くらい。…とざっと概要を書いてみた。文にすれば淡々としているが、実際にここまで持ってくるのは凄いことだ。

 


帰るといい匂いがして、Kristenが小麦の方のパンを焼いていた。今日はまだ8時をまわったばかりで、はやく終わったみたい。まだ焼けてないわ!と彼女は慌てていた。いつもどおりコーヒーブレイクをしていると、2人からプレゼントをもらった!えぇぇー。ありがとう!洋スタイルでその場で開けてみる。ThiseのキャップとLEGOのローダーと一輪車笑。これ飾ってたらめっちゃ仕事好きみたいだな、と思いつつありがたく受け取った。話していると、来年の春に牧場を若い夫婦に譲り、リタイアするらしい。今シーズンが最後のwwoofホストだったみたい。フレデリックは70歳。40代半ばで牧場を買い取ってスタートし、22年間もスタイルを崩さぬままずっと貫き通して、ほんと凄いよ。Kristenは明日も仕事で、みんなで食事するのはこれが最後だからと言った。

 


彼女は仕事に出かけ、私たちは新しい放牧地に電牧の設置と、サイレージを守るためのバリアをつくった。ねじねじで地面に穴を作り、木の杭を打ち込んで電牧を張った。

 


お昼はKristenが作ってくれたパスタと野菜トマトソース。メープルツリーの木の下で。食事はほぼ外で食べた。というかもう1週間経つのか…。早すぎるなぁ。明日はイヴが紹介してくれて、実はフレデリックとも知り合いだったというオーガニックチーズ農家さんのもとへ、7月2日までお世話になる予定。wwoofでもなんでもなく、本当に現地の人のつてで行くという、この旅感。素晴らしい。昨日の夜にKristenが行き方を調べてくれた。本当は電車でぶらぶらしながらスカンジナビア半島へ渡り、ヘルシンキを目指す予定だったのだが、それはお釈迦になり、逆に時間が無くなってしまい、アイスランドへ飛ぶ飛行機に間に合うため、急遽コペンハーゲンから飛行機で向かうこととした。全てが計画通り上手く行くわけではないが、いい選択肢をしていると思う。

 


午後の休憩を取った後、手押し草刈機でエントランス、通路、庭の草刈り。西洋の庭は青い芝をキープしなければならない。景観を守るためには、草刈りを怠ってはいけないのだ。特にこの家の庭は立派なのであった。

 


ちょうど終わったところでいい時間だったので、今日は私が紅茶を入れ、ティータイムの準備をした。昼に気温が暑くて溶けてしまったブルーチーズの最後の一欠片を食べる。これ、本当に美味しかったなぁ。私、ブルーはそんなに得意じゃないが、デンマークに来てゴートチーズであれブルーであれ、本当に全然違うのである。これは、スイスでもいっぱい試食せねば…。

 


集牧に行くと、彼女たちは真新しい牧草を食べるのに必死で、全然行こうとはせず難儀した。子牛は昨日の除角が嘘のようにピンピンしており、人間不信にもなっていなかった。

 


夕方の作業を終え、昨日の残りの肉じゃがや昼のパスタをフレデリックと2人で食べる。彼が明日からお世話になる酪農家のもとへ電話してくれた。その後、彼ら夫婦のiPadに入っている写真を見せてくれた。冬の雪が積もった時の写真や、クリスマス、孫や娘の写真、はたまた40年前の結婚式の写真など、とてもいいおじいちゃんとおばあちゃんであり、そういう部分は日本の家庭と何も変わらないのだな、と思った。また所々、家を改築する写真があって尋ねると、彼が直したものや作ったものが沢山…!この家の風呂も棚もガラスハウスも、パーラーでさえフレデリックがリフォーム、増築したものだという。凄え!大工さんと何も変わらないじゃん!とあれこれ話が盛り上がっところでKristenが帰ってきた。2人を撮った写真を送ってあげた。デンマークは今日、政権が変わるみたいでテレビを見るそうなので、私は撤退した。

 


眠れなかったので溜まった日記を書くことにしたが、寝不足だぞ、これは。

 

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Denmark Day25

気がつくと6時20分。しまった!寝過ごした!階段を降りるとフレデリックのシリアルタイムは終わっており、彼は集牧していた。Never Mindと彼は言ってくれた。朝の作業。子牛が脱走していたので、戻そうとして電牧線を触ってしまった。というか電気きてないと思ってた。意外にも強い電圧で心臓止まるかと思った。痛いというより、内部からドクン!というショックが大きかった…。

 


Kristenは7時から15時まで仕事だそうでもう姿はなかった。パンを食べていると、車が止まる音がして授精師がやってきた。背が高いナイスガイで、Vikingの方。アメリカと同じくブリーディングカンパニーが専属の授精師を持っており、日本のように農協や開業ではないようだ。車には木製で作られた専用の棚があり、彼はおじいさんが使っていたのをもらったんだと言っていた。1日に60から80頭、多い日で120頭つけるとか。何気なく話していると、和牛の話題に。いくつかの農家はオランダ経由で受精卵をを手に入れ、つけているらしい。AIは一頭しかいなかったのですぐに終わった。

 


庭の周りの除草(電牧にまた触る。本日2回目)や、イチゴやジャガイモの収穫をしていたらあっという間にランチタイム。休憩中に今度は女性獣医師が現れ、除角をするという。デンマークでは動物福祉が進んでおり、麻酔しないで除角すると法律違反になる。はじめに脱力剤を打った後、局所麻酔、除角、覚醒剤という流れ。生後1ヶ月半から2ヶ月前後の子牛たちの角は生えかけで、除角するのもナイフ一つでいい。ガスバーナーで炙ったごてで焼くのがメイン。血もあまり出ず、牛たちも大人しいので効率的だ。また、同時に耳標もつける。子牛たちが起きたら、痛いことは全て終わっている。意外にもけろっとしていたし、何より人間不信になっていないのでいいと思った。

 


長めの休憩を取った後、トラクターに乗ってコンポスト貯水槽の周りの木を撤去。フレデリックが木々にチェーンを巻いて、私がトラクターを前後させながら木をぶち抜く。気温が30度近く、車内がとても暑く北欧なのに汗をかく気温。大雑把に抜いた後は枝切りバサミで小さいのをちょきちょき。フェンス状の格子があり、触ったらまたそれも電牧で本日3回目…。だって電牧じゃないと思ったんだもん…。

 


16時のコーヒーブレイクはKirstenも一緒に3人で。

 


夕方の集牧の時、牛たちはしきりにヘーゼルナッツの木の葉を食べていて、なかなか集まってくれなかった。今日は夕ご飯を私が作ることになっているので、集牧を終えたらキッチンへ。メニューは肉じゃが、味噌汁、ご飯である。顆粒だしと醤油、味噌は持参した。今思えばこのチョイス、味が薄かったかなぁと思う。日本人はこれで十分だが、海外ウケはしないよなぁ…。今度は海苔を持ってきて寿司の方がいいだろうなぁと思った。Kirstenは一緒にライ麦パンと小麦パンの生地づくりをしていた。お米は鍋で炊かないといけないのだが、種類も違うし、いつもは炊飯器でやっちゃうから、追加追加で水を足していったらバサバサになってしまった。料理に時間はさほどかからなかったので、夕方の作業を手伝おうと思っていたら、もう終わりそうだった。外で日本料理を3人で食べる。2人とも美味しいと言ってくれ、和食に興味を持ってくれた。正直、私はあんまり美味しくなかったと思う…。つくづくこの人たちは優しいなぁと思った。

 


再び、軽い胃痛に襲われ、そそくさと部屋に帰ってすぐ寝た。

 

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Denmark Day24

朝の作業6時スタート。ハエが2匹私の部屋に迷い込み、耳や手に止まってくるのでなかなか眠れなかった。搾乳も自分が何番目に搾られて、どっちサイドに行けばいいか牛の方が分かっている。つまり、クセがあるのだ。あの子はこっち、あいつは後、みたいなことがよく起こる。今日はパーラー洗浄ではなく、feedingをしてよ、となったので、穀類を混ぜたやつ、ペレット、ミネラルをあげた。首に色の異なる紐がついていて、量が違う。オーガニックだから、穀類は全て自家製である。

 


コーヒーブレイクは牛の見える庭のテーブルで。なんと優雅なのだろう…!それがいわゆるHyggeである。

 


その後、買い物へ行くと言うのでついていくことに。図書館は無人制。カードで扉が開閉し、自由に借りられる。2週間に一度ボランティアが本の入れ替えるそうだ。こういうところで人手をかけない。少子高齢化社会として見習うべきではないだろうか。次にセカンドハンドストアへ。要するに中古品屋さん。デンマークには街に一つ必ずといってよいほどこのような店がある。物価が高い分、本当に欲しいもの以外はリユースするシステムが出来上がっている。ハンモックとか何気に欲しかったけど持ち運べないので諦める…。

 


明日、日本料理を作って欲しいと言われているので、スーパーで材料を調達。ジャガイモや葉菜は家庭菜園のものを使えばいいので、豚肉と人参、米を購入。豚肉はスライスのものはあまりない。薄いのが普通なのは日本だけではないだろうか。肉や乳製品売り場には、四葉のクローバーで動物福祉やオーガニックが守れているかの表示があり、レベル4まである。これは面白い試みではある。日本はGAPやHACCPの認証制度はあるものの、デンマークはかなり進んでいる。ところで、お菓子コーナーに何やら黒いものがたくさん…。サルミアッキである。日本ではマズイと噂だけど、どんな味なの?と聞いたら量り売りのやつを買ってもらった。わーい。と思ったのはつかの間。家に帰って早速食べると、なんじゃこりゃ…!まずい。最初は黒砂糖みたいなコクのある味がするのだが、後味がひどい。そして何故だか甘いやつとしょっぱいやつの2種類ある。甘いのはまだなんとか大丈夫だけど、塩味はなんとも…。リコリスは北欧では小さい子供も好きらしい。よし、お土産に買っていこう。

 


お昼まで家庭菜園の庭の除草とイチゴを摘んだ。ダリアが咲き誇る。Kristenはカシスもラズベリーマーマレードにする。この手作りジャムは本当に美味しい!

 


昼休憩の後は子牛の哺乳バケツを洗うのと、麦類のストローを敷き藁として追加する作業で終わった。床は発酵床になっており、どんどんストローを追加してコンポストを作っていく感じ。

 


そして再びコーヒーブレイク。搾乳、哺乳。もう、ほんとに搾乳が全然苦じゃない。全ての作業が1人でできるように考えられている。規模が小さいのは勿論だが、この50頭の牛を全て自分で管理し、考え、今日1日の作業をしていく。こんなに楽しいことはない。

 


夕ご飯はまだ明るい外で。今日はサバだった。ディルと一緒にオーブンで焼く。デンマーク人は魚は高いのであまり食べない。国内で取れるものは輸出用にしてしまうようで。洋風の魚もいいねぇ。休憩の時も、夕食の時も、いつも何かしら話が盛り上がり、ついつい長くなってしまう。日本とデンマークの違いは?どうやって農場始めたの?若い人たちの問題点は…などなど。

 

ご飯を食べている途中から急に横っ腹がキリキリと痛み、たまにあることだが平気なフリをしていた。が、なんとKristenが今夜は森の中を散歩しましょうと言い、着いて行くことに…。始めは早く終わってくれないかな…とひたすら平気な感じを装っていたが、歩いていると少しだけ快方した。植わっている様々な木は、22年前新規就農した当時2人が植えたもの。森は針葉樹林の単一ではなく本当に沢山の種類がある。Kristenのズボンに病気をもたらすダニが1匹とまっていて、Good Bye small friendといって彼女はダニを潰したのが印象的だった。友達殺した…!!あと、周辺にはクリスマスツリー用のモミの木を育てていて、出荷するまでに10年かかる。たった1週間のクリスマスのために、長い長い歳月をかけるのだ。土を作るのも、木が育つのも時間がかかる。時折、ヒキガエルやウサギを見た。豊かな森であった。


自室に帰りすぐ寝てしまう。というか腹が痛かった。日記を書くのが遅れつつある。

 

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Denmark Day23

昨日は夜遅くに帰ってきたが、6時から集牧&搾乳。その後、子牛の哺乳。粉ミルクは使わず、初乳と体細胞が多い牛(3から4頭)のバケットミルクを使って、哺乳バケツで9頭、水槽であげるのが5頭。一頭あたり一日3リットル×2回。あとは濃飼と草を少々。

 


朝の作業が8時半頃終わり、コーヒーブレイク。Kristenがサワードゥで作るライブレッドとカシスジャム、チーズやハチミツ、サワーミルクなどを食べる。デンマークのパンが酸っぱいのは、イーストではなくこのサワードゥを使っているから。

 


その後、育成牛の移牧に3人で出かける。彼らは群で動き、言うことをよく聞くので移動もしやすかった。愛情を込めて育てられるとこんな感じになるのかぁ、と思った。ライ、小麦、オーツのミックス畑を横切り、搾乳牛の群れと合流させ、発情がきているかを確認する。以前はブルを使っていたらしいが、フレデリックがブルごとフェンスから投げ出されるなど危険なことがあったのでやめたそうな。新しい群れに入ると、育成牛群は離れて固まっており、レディ達の仲間には入れてもらえない。人間みたいだ。

 


ランチはサラダパスタやゆで卵、トマトなどを食べた。その後、Kristenは週3〜4回ソーシャルワーカーの仕事があるので出かけて行き、私たちは14時まで休憩。家庭菜園のイチゴの除草、収穫して16時に再びコーヒーブレイク。16時半から集牧、搾乳、19時前には作業が終わり、Kristenは22時頃帰るので、フレデリックと2人で夕食を食べた。彼とその時、Vikingの種の話や、NTM(ノルディックトータルメリット)という、アメリカ型の評価とは異なる、体型、長命連産重視の評価方法であることなどを話した。また、私はこの牧場は、オーガニックであり、小さな牧場であり、昔ながらのことと現代のことを上手く使いこなしていて理想型であり、けれど、この方法を日本で同じようにやるのは、いろんなことを変えていかなければならないし簡単ではないと思う、と話した。彼らは40年前、共同牧場で働いていて、その途中でオーガニックに変えた。つまり30年前くらい。当時、デンマークでもオーガニックはマイノリティーであり、隣人の農家に受け入れられることは難しかった。スーパーマーケットと組んでキャンペーンをしたり、オーガニックでやっている方が牛や土が健康で、結果的に収益に繋がることを証明し、少しずつ少しずつ普及させていって、今オーガニック25%のデンマークがある。オーガニックミルク専門に取り扱う大手乳業メーカーもできた。(Thiseとnatural milk)最初は利益や金が儲かるとかよりも、自分で納得のいく、自分が売るものに誇りが持てる方法でやっていれば、結果はついてくる。You  can be the farmer in Japan!と言われた。あれ、今日最終回だっけ…。具体的な目標が決まった。基準や価値や文化的背景は違うかもしれないし、過程は違うけど、頑張ってみようと思えた。

 

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Denmark Day22

朝6時から仕事スタート。リビングにはすでにフレデリックがシリアルを食べていたが、私はお腹は空いていないので水だけ飲んだ。外に出ると気温は7度ほどしかなく寒い。フレデリックがパーラーの準備と濃飼を準備する間に、私はゆっくりと歩く牛たちの集牧である。

 


パーラーは6頭ダブルで、出口は全て手動。牛がぎゅうぎゅうにパーラーに入ることで動かなくしている。パーラーの支えのところにロープをつなげ、最後尾の牛を固定する。ミルカーも6個。1番ノーマルなタイプで、中古品。先に入ってくる左側に6頭入れて、清拭、前しぼり、カップオン。片側が終わったら反対側も前しぼりまでやり、そのまま左から右へミルカーを移行する感じ。あとはポストデッピングするのみ。32頭しかいないので、3回転しないうちに終わってしまう。牛たちはパーラーの隣にあるスタンチョンでデントコーンを食べる。搾乳が終わり次第、バーリー、オーツ、ウィード、ルーピンの圧片、ミネラル、ペレット(オーガニック認証)をやる。

 


パーラーの洗浄もシンプル。バケツ一杯の熱めのお湯にブラシ、雑巾を入れておいて、ミルカーの外側はこれで洗う。続いてポールを雑巾で拭き、下のエッジをブラシで洗う。ここまで水はバケツ一杯しか使ってない。通路の糞や固形物をスコップで除去後、ミルカー洗浄で使ったお湯をバケツ一杯ずつ流し、ブラシで掃いて終わり。水も節約、高圧洗浄機なしの至って簡単なシステム。

 


子牛はバケットで絞った牛のものを哺乳する。哺乳バケツが引っさげてあり、一頭につき朝夕3リットルずつ。余った牛乳はサワーミルクにして、それを加えたりしながら哺乳の分を確保し、調節しているらしい。よく考えれば、粉ミルクって高いし溶けにくいよね。

 


8時半頃全ての作業は終わり。今日は友達(有名な人らしく300人ほど来る)パーティーに行くので、夕方は知り合いに頼んだあるそう。急いでシャワーを浴び、車に乗って約2時間のドライブ。Ebeltoftという街へ。

 


着くと工場みたいなところの中に、ドリンクバーやテーブル、スタジオが作られていて、隣の部屋に行くと、作りかけのセルフビルドの家や資材、コンテナなどが沢山あり、なんの工場で、今日はなんのパーティーなのかよくわからないままとりあえず、自由に取っていいパンやコーヒーを飲んでいた。

 


日本人の女性に会った。Mさんはデンマークに訪れるのはもう10回目で学生の頃から来ているらしい。パーティーの詳細を教えてくれた。オーナーはエコビレッジを作ったり、元農業学校の先生だったり、元農家だったり、今はベンチャー起業家で、今日は彼と息子の誕生日パーティー。工場を買い取り、そこに出資した人は工場内に自分のベースが持てる。タイニーハウスなどは、その出資した起業家の家だったり、オフィスだったりになっている。彼女は学生時代に彼に会い、それから友達で、フレデリックは農家時代からの中らしい。そんなことを教えてもらい、ようやく内容が理解できた。一通り施設や企業の説明が終わった後、私は再びタイニーハウスを見ていた。めっちゃ理想。これ建てたい。小さいけど必要なものは全部揃っていて、満たされた生活ができそう!と写真を撮りまくった。

 


飲み物なども振舞われ、ステージで人が入れ替わり歌ったり、フォークダンスを踊ったりしていた。私はデンマーク語がわからないので、何人か高台で飲んでいて、そこに行ったら、2人のデンマーク人が声をかけてきて話が盛り上がった。自己紹介となんのためにデンマークに来たかとか、将来の夢とかそんなこと。と、突然1人が今何時?しまったバスを逃してしまったと言った。結構田舎なので、最終のやつを逃したらしい。えぇ〜こんなことある?!私のせいではないが、私と話していたから逃したわけで…。彼の友達を見つけ、なんとか帰ったみたいだったけど。少し気疲れした。

 


再び日本人の女性と話す。彼女はエコビレッジについて話してくれた。全然知らなかったが、私たちは当たり前にコミュニティに参加し、生活してきたが、そもそものコミュニティの成り立ちを考えさせられた。また、デンマークについても詳しく、ホルケホイスコーレや、デンマーク人が幸せの国である背景の裏側、ストレスも抱えていること、自分たちが日本では無理だろうなと諦めていることが、この国では実現していることなどなど…。

 


夕食はサラダやローストポーク、豆のカレーなどが振舞われた。なぁんにも知らずに来たけど、タイニーハウスも観れたし、デンマークで日本人と知り合えたし、デンマーク人と話せたし、収穫は沢山あって、来てよかったなと思った。気づけば21時を回っており、ホスト夫婦とその友達のおばあちゃんとともに4人で帰路につく。彼女も結構話しかけてくれた。

 


家に着くと23時。明日も6時起きなので速攻寝る。

 

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Denmark Day21

拙者は流浪人、また流れるでござる。

 


慣れてきたところで、仲良くなってきたところで、いつも時間切れになる。短い期間に設定したのは私なのだけれど。今回は学校という特殊な環境で、日々があっという間に過ぎてしまって、もっと長居したかったと本当に思った。

 


朝食の後、部屋を片付けて荷物をまとめたら畑に行くとイヴに伝え、身の回りの整頓をする。8時過ぎにイチゴ畑に行き、5パックほど収穫したところでイヴが現れて、次のホストに持って行きなよと言われた。ありがたくもらう。コーヒーブレイクまで大きくなったタマネギの除草とハッキング。

 


休憩の後、テンサイ畑に行き、雨の降る中、男子生徒と共にブタクサの除草。靴の中までビタビタになってしまった。昨日仕込んだ堆肥を見に行くと、見事に湯気が上がっていた。最後まで除草尽くしだった。やはり農業は草との闘いである。

 


ランチの後、学生たちにこの後去ることをイヴの口から伝えられて、みんなにありがとうと言った。結局、日本のプレゼンはできなかった。

 


少し寂しそうな顔をして、じゃあ荷物をまとめてきなよと言われた。荷物をまとめ、イヴが準備できるまで交流ルームで狩猟の先生の黒ラブと戯れて待った。先生たちが集まっていたので、イヴとのツーショットを撮ってもらった。やはり彼の手は大きく皮が厚く、働く人の手だった。初日に怪我をした場所は大きく抉れていた。先生たちにも別れを告げて、いよいよ車に乗る。キャロラインにメッセージを送ったが、タイミングが悪く、直接彼女には会うことができなかった。

 


鍵を返し、イヴにbrandeという街まで送ってもらう。いつもは饒舌な彼だが、今日は沈黙が続いた。途中ポツポツとたわいもない事を話したくらいで、本当はもっといろんなことを伝えたかったのだが、何を言ったらいいか分からず、結局また沈黙となってしまった。

 


1時間程でBrandeに到着する。32頭のジャージを飼う有機酪農家である。農場主のFrederikと奥さんのKristen。今まで90人以上受け入れてきたベテランホストで、Frederikは1996年に就農し、今年70歳現役酪農家だ。彼の姿は見えず、とりあえずKristenがコーヒーを入れてくれて、作りたての自家製カシスジャムとパンを用意してくれた。Frederikを呼び、外の庭で夫婦とイヴと私でコーヒーブレイク。イヴとは初見だったみたいだが、有機農家はフレキシブルなので打ち解けが早く、これをきっかけに知り合いになりそうである。自己紹介や農業などの話を色々して、牧場を案内してくれた。なんだこの可愛らしい畜舎は!!シンプルなパーラーに、ストール、放牧主体で濃飼は自家製。見晴らしのいい家庭菜園と森。35haには放牧採草地や飼料作物を育てている。これです。私が求めていたのは。やりたいのは。それを実践している人がいて夢みたいだった。小さな牧場、古くても大事にされてきた機械、タイムスリップした感じがした。驚くことばかりで写真ばっかり撮っていたが、3人は説明など喋っていた。イヴが、自分の両親の農場に戻ったみたいだと言った。

 


2時間くらい経った頃、いよいよイヴとお別れ。最初のwwooferになれたからだろうか、彼が色んなことと闘っている背景を知ったからだろうか、見かけによらずお茶目だからだろうか、篤農家として教育者として彼を尊敬する。12日間しかいなかったが、沢山のことを勉強させてもらい、もっともっと賢く行きなければ、と思った。正直、今までで一番別れが辛く感じた。裏側に手紙を書いた折り紙の鶴を渡したが、今までこんなことなかったのだが、なんだか泣きそうになった。イヴは私が日本で目標を叶えられた時に見せたい一人となった。彼は爽やかな笑顔で去っていった。

 


直ぐに現実に戻り、搾乳の時間だからと、とりあえず急いで部屋を案内され(とっても可愛いお姫様みたいな部屋)、作業着に着替えて集牧へ向かう。ジャージたちはクセがあり、ある一頭の柄が北海道みたいだった。

 


今日は殆ど見ているだけになってしまったが、1番シンプルなパーラーに中古のミルカーシステム。酪農機器も手で管理できるステレオタイプ。これで十分。この32頭を世話し、牧場の全てを1人で行うなんて、なんて楽しいのだろう!!見るもの全てがワクワクで、搾乳はあっという間に終わってしまった(方法については今度書く)。

 


18時過ぎに帰るとKristenがポテトとキャベツのチャウダー、ミートボールを作っていた。外のベンチで3人で、私はバクバク食べた。

 


夕食後に、育成牛を見に森の中へ3人で出かける。バーレイ、小麦、オーツを混ぜた飼料畑や防風林を歩いた。育成牛は6頭ほどいて、月曜日にvikingの授精師が来るという。色々聞ける。こんなにいい機会に恵まれたとは。とてもラッキーである。

 


散歩帰りに小雨が降り出した。いつ牧場を始めたとか、考えを話した。デンマークでは共働きが多い。Kristenはソーシャルワーカーとして働いている。旦那さんの職業が酪農家であっただけのこと。逆もまたしかり。奥さんが農家であっても何も問題がない。これです、私が求めるのは。日本は農家に嫁ぐという言い方をする。もっと柔軟に考えてもいいのでは…。

 


帰ると、イヴから貰ったイチゴを食べながら日本地図を広げ、自分の説明をしたり、農場の話をしたり、wwooferについて話したりした。気づけば22時半でだった。明日は何やらよく分からないのだが、誕生日パーティーに付き添いで行くみたい。昼我慢した分泣きたかったのだが、気づいたら寝ていた。

 

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Denmark Day20

今日も色んなことがありました。

まず、朝食後の学生のエクササイズの時間は、本日は学内の農場巡り。イヴが先頭を歩いて、麦やジャガイモや菜種、豆畑の説明をしながら30分ほど歩き回った。親切な男子学生が1人、私に付き添って説明を英語に翻訳してくれた。彼は作物農家になりたいそう。

 


その後はイヴと2人でローダーの油圧ホースの交換。ネジがひん曲がっていたり、ホースの取り付け口がねじれていたりとなかなか大変であったが、彼はパパッとやってのける。私はネジ一つを取るにしてもとても硬くて、砂利なども挟んで苦労するというのに…。力の差を感じるが、これをクリアせねば農家になりたいなどとは語れない。油で手がベトベトになりながら作業し、コーヒーブレイクに。その後は学生たちとハッキング。雨も降ってきて、彼らはすぐに消えてしまったが、私はお昼まで続けた。

 


午後から堆肥づくりを見に行く。デンマークは麦類のストローを敷き藁に使うので、それを主に、家畜の糞尿、カビたサイレージ、などを、とりあえずどどんと1箇所に集める。後、水が50%は含む必要があるので、潅水用のホースを用意する。全部マニュアスプレッダに積み込み、1箇所に撒き散らし、発酵を待つという感じ。イヴ支持の下、男子学生が2人作業にあたっていたのだが、少し目を離していたら、トラクターのPTOシャフトの付け根が割れてしまい、作業を続けられなくなるというトラブル発生。換えのPTOを買いに行くことになり、イヴと2人で車に乗り込む。街の機械工と、ニューホランドのショップに電話するものの、返事は良くないみたいで、最後の手段として、ファーガソンミュージアムに行くことになった。え?何でミュージアム?と思っていたが、到着するなり酪農の牛舎が。そして大量のファーガソンラクターが!オーナーらしき人と長い握手を交わした後、イヴは部品を借りに話し込んでいる。何とオーナーは新品を2本持っており、貸してくれるらしい。その後手招きされ、ファーガソンミュージアムに少し入るとそこは異世界だった。ズラーっとトラクターが並び、又は宙に浮く感じで展示されていて、中には可愛い色合いのトラクターも。全て私費で集め、ミュージアムにしてしまったというエピソードがすごい。そして彼は酪農家なのに。

 


急いで?学校に帰りシャフトを変えた。ただもうすぐ16時で、イヴは教員会議が1時間ほどあるというので、1人でブロッコリーのハッキングを夕ご飯前までやった。

 


夕食の後、ある先生が今期いっぱいで今の学校を去るというので、学生たちがイベントを催していた。その延長線上でツリークライミングもやることになり、どういうわけか私もやることになった。その前にまだ時間があるので、男子生徒とイヴと堆肥作りの続きを。真菌を森へ取りに行く途中でファルコンがずっと木に止まっていてカッコよかった。木の根の付近の腐葉土をバケツにとる。ふも足元を見ると、巨大ナメクジが多数出現して少しびびった。堆肥に真菌をまき、再びマニュアスプレッダにかけてミックス。これで置いておくと、明日までに60度70度ほどになるらしい。

 


さてツリークライミング。一応ロープをつけるが、木はかなり高く、登れたもののなかなか怖かったがエキサイティングでもあった。降りる方が難しかった。しばらくみんなが登るのを見たり、女子の学生と話していたが、肌寒くなったので21時のコーヒーブレイクに行く。

 


学生たちと一緒にパンを食べた。まだイヴに明日の朝、立つことを言ってないので、イヴの家まで行った。彼はパソコン作業をしていた。明日の朝出発するよと言ったら、彼は驚いた様子だった。彼は有機酪農家にアポを取って、そこで働かせてくれる手はずを整えていてくれていたのである。私はただ訪れるだけだと思っていたので、次のwwoofをすることを彼に言っていなかった。ダブルブッキングなってしまった…私の英語力が低く、詳細まで理解していなかったのである。しばらく考えたが、どちらも行ってみたい。という意思をイヴに伝えたところ、ダブルブッキングをした私を責めず、次のホストにデンマーク語で電話をしてくれた。そしてホストとイヴが紹介してくれた有機酪農家は知り合いだったのである。本当は明日の朝早く、電車で次の街へ行くはずだったのだが、ランチ後にイヴが次のホストまで送ってくれるという。学生のワークショップがあるでしょう、それは申し訳ないよ、と言うと明日はoffだからいいよ、と言ってくれた。お言葉に甘えてそうすることに。スーザンと電話で話したり、デンマークの地理や方言のクセについて話していたら、また日付を過ぎてしまう。

 


部屋に戻り、部屋の整理をし、イヴに手紙を書き、寝た。

 

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