Denmark Day21

拙者は流浪人、また流れるでござる。

 


慣れてきたところで、仲良くなってきたところで、いつも時間切れになる。短い期間に設定したのは私なのだけれど。今回は学校という特殊な環境で、日々があっという間に過ぎてしまって、もっと長居したかったと本当に思った。

 


朝食の後、部屋を片付けて荷物をまとめたら畑に行くとイヴに伝え、身の回りの整頓をする。8時過ぎにイチゴ畑に行き、5パックほど収穫したところでイヴが現れて、次のホストに持って行きなよと言われた。ありがたくもらう。コーヒーブレイクまで大きくなったタマネギの除草とハッキング。

 


休憩の後、テンサイ畑に行き、雨の降る中、男子生徒と共にブタクサの除草。靴の中までビタビタになってしまった。昨日仕込んだ堆肥を見に行くと、見事に湯気が上がっていた。最後まで除草尽くしだった。やはり農業は草との闘いである。

 


ランチの後、学生たちにこの後去ることをイヴの口から伝えられて、みんなにありがとうと言った。結局、日本のプレゼンはできなかった。

 


少し寂しそうな顔をして、じゃあ荷物をまとめてきなよと言われた。荷物をまとめ、イヴが準備できるまで交流ルームで狩猟の先生の黒ラブと戯れて待った。先生たちが集まっていたので、イヴとのツーショットを撮ってもらった。やはり彼の手は大きく皮が厚く、働く人の手だった。初日に怪我をした場所は大きく抉れていた。先生たちにも別れを告げて、いよいよ車に乗る。キャロラインにメッセージを送ったが、タイミングが悪く、直接彼女には会うことができなかった。

 


鍵を返し、イヴにbrandeという街まで送ってもらう。いつもは饒舌な彼だが、今日は沈黙が続いた。途中ポツポツとたわいもない事を話したくらいで、本当はもっといろんなことを伝えたかったのだが、何を言ったらいいか分からず、結局また沈黙となってしまった。

 


1時間程でBrandeに到着する。32頭のジャージを飼う有機酪農家である。農場主のFrederikと奥さんのKristen。今まで90人以上受け入れてきたベテランホストで、Frederikは1996年に就農し、今年70歳現役酪農家だ。彼の姿は見えず、とりあえずKristenがコーヒーを入れてくれて、作りたての自家製カシスジャムとパンを用意してくれた。Frederikを呼び、外の庭で夫婦とイヴと私でコーヒーブレイク。イヴとは初見だったみたいだが、有機農家はフレキシブルなので打ち解けが早く、これをきっかけに知り合いになりそうである。自己紹介や農業などの話を色々して、牧場を案内してくれた。なんだこの可愛らしい畜舎は!!シンプルなパーラーに、ストール、放牧主体で濃飼は自家製。見晴らしのいい家庭菜園と森。35haには放牧採草地や飼料作物を育てている。これです。私が求めていたのは。やりたいのは。それを実践している人がいて夢みたいだった。小さな牧場、古くても大事にされてきた機械、タイムスリップした感じがした。驚くことばかりで写真ばっかり撮っていたが、3人は説明など喋っていた。イヴが、自分の両親の農場に戻ったみたいだと言った。

 


2時間くらい経った頃、いよいよイヴとお別れ。最初のwwooferになれたからだろうか、彼が色んなことと闘っている背景を知ったからだろうか、見かけによらずお茶目だからだろうか、篤農家として教育者として彼を尊敬する。12日間しかいなかったが、沢山のことを勉強させてもらい、もっともっと賢く行きなければ、と思った。正直、今までで一番別れが辛く感じた。裏側に手紙を書いた折り紙の鶴を渡したが、今までこんなことなかったのだが、なんだか泣きそうになった。イヴは私が日本で目標を叶えられた時に見せたい一人となった。彼は爽やかな笑顔で去っていった。

 


直ぐに現実に戻り、搾乳の時間だからと、とりあえず急いで部屋を案内され(とっても可愛いお姫様みたいな部屋)、作業着に着替えて集牧へ向かう。ジャージたちはクセがあり、ある一頭の柄が北海道みたいだった。

 


今日は殆ど見ているだけになってしまったが、1番シンプルなパーラーに中古のミルカーシステム。酪農機器も手で管理できるステレオタイプ。これで十分。この32頭を世話し、牧場の全てを1人で行うなんて、なんて楽しいのだろう!!見るもの全てがワクワクで、搾乳はあっという間に終わってしまった(方法については今度書く)。

 


18時過ぎに帰るとKristenがポテトとキャベツのチャウダー、ミートボールを作っていた。外のベンチで3人で、私はバクバク食べた。

 


夕食後に、育成牛を見に森の中へ3人で出かける。バーレイ、小麦、オーツを混ぜた飼料畑や防風林を歩いた。育成牛は6頭ほどいて、月曜日にvikingの授精師が来るという。色々聞ける。こんなにいい機会に恵まれたとは。とてもラッキーである。

 


散歩帰りに小雨が降り出した。いつ牧場を始めたとか、考えを話した。デンマークでは共働きが多い。Kristenはソーシャルワーカーとして働いている。旦那さんの職業が酪農家であっただけのこと。逆もまたしかり。奥さんが農家であっても何も問題がない。これです、私が求めるのは。日本は農家に嫁ぐという言い方をする。もっと柔軟に考えてもいいのでは…。

 


帰ると、イヴから貰ったイチゴを食べながら日本地図を広げ、自分の説明をしたり、農場の話をしたり、wwooferについて話したりした。気づけば22時半でだった。明日は何やらよく分からないのだが、誕生日パーティーに付き添いで行くみたい。昼我慢した分泣きたかったのだが、気づいたら寝ていた。

 

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