Uganda Day98

8時半に迎えにきてもらう。明後日訪問予定だった、グル一番の大きな酪農家のもとへ、今日の午前中訪問させてもらうことになった。この酪農家はグル市内のエチオピア料理店の前に独自の小売店をつい最近オープンしたばかりだという。かなりやり手婆である。

 


到着するなり大きな門。Gulu Dairyとしっかり書かれていて、日本や欧州の酪農場と相違ない。ただ、アフリカの景色にフリーストール牛舎、ホルスタインという異様な光景。牛舎の奥にはデントコーンば畑が広がっていて、数人が農作業していた。エントランス的な所に通され、壁には栄養や繁殖など酪農技術のポイントが英語で書かれたポスターがいくつも貼ってあった。オーナーはトニーという名前の若いウガンダ人で獣医師免許も持っているらしい。一番気になるのはどうやってこんな立派な施設とトラクターなどの機械が持てたのか?彼はクラウドファンディングで集めたと言っていた。(後になって、本当はアメリカ資本も入っていたことを知る。)搾乳もミルカーで行い、バルクもあるし、バルクからそのままヨーグルト製造や牛乳のパッキングが行える設備まで整っていた。餌はほぼほぼコーンサイレージで少々のそこらへんの草、ケニアから輸入したルーサンである。日量25kg前後搾れると言っていたので、かなり成功しているのだろう。ウガンダは1リットルあたり1200Ush(約30円)でこれはアメリカの乳価とほぼ同じである。GDPや他の農産物の価格が低い中、牛乳の価値は高い。ただ、どの位国内需要があるのか私にはわからない。トニーは誇らしげに牛舎や施設を案内してくれた。帰りに自社製品のヨーグルトを頂いたが、普通に美味しい、というかフレーバーの味である。トニー曰く、牛乳の販売は勝手にしていいけど、ヨーグルトなどの乳加工品の販売は政府への登録と納税が必要らしい。

 


うーん、カルチャーショック。勿論まだ伸びしろはあるが、ほぼ他国の酪農と変わらない。昨日私が見たのは何十年前にタイムスリップしたレベルだったのに。同じ国とは思えないこの違い。ただ、一般農家がこのレベルに持っていくのは非常に難しいし、何よりそんな金はない。牛個体の返済だって危ういのに。日本も戦後の酪農を導入した頃そうだっただろうが、政府からかなり補助金開拓使的な人たちを募ったはずである。やはり初期投資がかなりのハードルか。ただ、将来的にこういう農場がポコポコ建って、農家の所得向上、牛乳の国内需要への供給、近隣国への輸出、これが目標なのだろうか?アフリカの農業ポテンシャルはかなり高いことがわかったが、最終的には、世界はどうなっていくんだろう…。

 


車でそんなことを考えながら、今日の昼食はド、ローカルな大衆食堂へ連れて行ってくれるそうで。外観には一応レストランとあるが

キッチンは外にガスボンベ小がいくつかあり、鍋がドンと置かれてコトコト言っている。非常に良い。こういうのは大好きだ。中に入ると、手書きのメニューが一応あったが、メニューなんてあってないようなもので、今日はこれだからみたいな感じ。ほぼ2000シリング。安い。おかずはシムシムと呼ばれるいわゆるゴマか、オクラのどちらか。そういえばコンサルのOさんが、ウガンダではシムシムを作ってない男は甲斐性なしと言われるほど、栄養価が高く、比較的高価な作物であるらしい。主食はまあいえば何でも出てくるみたいだが、私は米だけにしておいた。他にもマトケ、キャッサバ、ポショ、スイートポテト、じゃがいもとかある。シムシムはどうやって作ったのかわからないが、おから炒めみたいな感じでご飯が進んだ。ウガンダのご飯は美味しい。というかヨーロッパよりアジア寄りなのが嬉しい。

 


午後はタバコを作っている(勿論牛もやっている)というおっちゃんの元へ。午前中のモヤモヤ感を吹き飛ばしてくれる、元気なおっちゃんだった。全て手作業で作られた畑には、本当に様々な作物が植わっており、おっちゃんはその全てにおいて熟知している。これは甘いバナナ、あっちはマトケ用。つい最近コーヒーを植えたんだ。タバコは先週収穫しちゃって今干してるよ。あぁ、あの木は雄木でね雌木の実はたべれるけど、これは葉を家の屋根にして使うよ。あ、あっちは…。説明が止まらないが、おっちゃんは楽しそうだった。バナナ一房(といっても大量)をもぎ取り、あんたにあげるよと。いやぁ、ありがたいんだけど荷物になるなぁ。ちなみに緑のバナナを食べたところ、激渋でまるで渋柿のようであるので食べない方がいい。でも彼は自分の作っているものに誇りを持っていて、小さいが工夫して土地の生産性を上げ、何より楽しそうだった。そんな姿を見て嬉しくなった。と、ここでおっちゃんが干してあるタバコの葉を手で荒くちぎり、ノートの紙の端切れを持ってきてそこに砕いた葉を入れ巻き始めた。財団のSさんに吸ってみなよと勧めていた。私は吸わなかったが、煙からしてかなり濃そう。というかダイレクト。フィルターもないし。葉巻はこのタバコの葉を丸めたものだと初めて知る。

 


雲行きが怪しくなり雨が降り始めた。最後に、このプロジェクトの事務所兼ヨーグルトの販売所になるであろう建物を見せてもらった。今は家具も無くがらんとしているが、第2フェーズのプロジェクトが始まったらここが拠点になるそうだ。

 


今日はグル最後なので、Sさんと夕ご飯をご一緒させて頂くことに。一度宿に帰ってから迎えにきてもらい、彼の行きつけのカフェに行く。野菜カレーを注文したが、熱すぎて口の中を一瞬でヤケドする…。NGOに入った経緯からこの業界のこと、アフリカの動物たちの話など色んな話をした。その後また宿まで送ってもらった。

 

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