Denmark Day14

もう2週間過ぎてしまった。日々色んな事に気付かされ、やはり留学に来て良かったなと思う反面、寄り道が多く年を重ねてしまったことを少し残念に思っている。なぜなら皆んな若いから。学生に何歳に見える?と聞くと、同い年くらい?と言ってくれる…。

 

さて、今日は朝ごはんの後、イヴと2人でサイレージの回収。80馬力くらいのニューホランドのトラクター牽引を、運転してねといきなり任された。このあまり説明もないまま本番な感じ、農家のおっさんがよくすることです。ポテトハーベスターからトラクターを離すとき、イヴが血が滴るほど手を切ってしまったが、何も動じずただ絆創膏を貼りに行ったのが、なんというか格好良かった。彼はの手は、大きく皮が厚く、働く人の手をしている。軽油を入れて牽引車とつなぎ、イヴについて公道を下り、脇道に入って学校から少し離れた採草地へと向かう。彼はローダーに乗っていて速いので、ギアを変えようと思ったが、接触が悪く変わらない。あたふたしていると、イヴが来て学生たちが無理にやるから壊れてるんだ、などと言ってギアをつなぎ直してくれた。そのギアで走って、ターンの時にギアを落とし、また入れ直そうと思ったのだが、また繋がらない。こういうトラクターの小さな癖は、日々やっている者でないと上手に使いこなせない。見かねたイヴがまた自身のローダーを止めてこちらに向かってきたが、その瞬間ギアが入った。使い物にならなくて申し訳ない感じ…。

 

採草地ではイヴがサイレージを回収している間、トラクターの外に出てぶらぶらしていた。すると、いきなり大きな四葉のクローバー発見!なんかいいことあるかなぁ…。帰り道は交代と言われて、私がローダーに乗った。途中、羊が放牧されている場所に立ち寄り、異常がないかチェック。生後4ヶ月ほどの仔羊がイヴの後をついてまわるのが可愛かったし、一見クールなおじさんであるイヴが動物を可愛がる姿は、ああこの人本当に農業が好きなんだなぁと思う。

 

学校へ戻ると学生たちが出てきており、交代した。さっきイヴに教えてもらった南京縛りを復習していると、私が理解するまで何度も教えてくれた。牛をチェックしに彼についていく。ブルが駆け寄ってきたが、頭を掻いてもらうのが気持ち良さそうだった。

 

10時のコーヒーブレイクの後、特に何も指示がなかったので、とりあえず畑に行きニンジンの除草をしていた。途中、学生たちがイチゴの盗み食いをしにきたり、トラクターで横切った。ランチ頃にイヴに声をかけられ、昼ごはんに行く。誰かの誕生日らしく、バースデーソングはデンマーク語だった。

 

午後はイヴと2人でイチゴ狩り。イチゴはシーズンを迎えていて、取っても取っても取りきれないくらい。カゴいっぱいに収穫し、キッチンへ持って行き、学生たちのおやつになる。早く来た学生やキッチンで働くシェフの子供などがお皿いっぱいに我々が収穫してきたイチゴを持っていく。その様子をみてイヴは嬉しそうだった。

 

休憩の後、小雨の降る中2人で畝間の除草をした。イヴがトラクターを運転し、私はアタッチメントの後ろに乗り、野菜が潰れないよう作業機の微調整をする係。雑草が酷いところは紛れてしまって全然見えないので、基準を作るために一列、手で除草した。少し失敗しても彼は全然怒らず、気にしていないようだった。

 

雨が本降りになってしまったので、あと少しで終わるところで切り上げ。トラクターを元に戻した後、機械庫の中で少し話した。これから旅路どうするのかとか、卒業した後どうするのかとか。とりあえず、授精師になってお金を貯めるつもりだというと、ホルモン注射の話になった。日本でも家畜に当たり前のようにホルモン剤を打ち、繁殖成績を確保しているが、そんなの何も良いことはないなと思った。家畜の体を通じ、肉や乳を食べ自分の体に移行するような危険性を考えても見なかった。基準は守られているので当然安全だと思い込んでいた。本来、健康ならば、ホルモンは自分で作れるもの。体が持っている恒常性を尊重するような農業は、やはりオーガニックなのだろうか。

 

今日は学生たちは週末パーティーらしく、各々家に帰ってしまい学校からいなくなってしまった。シェフもいなくてキッチンも稼働していないので、イヴの家で夕食を食べることに。シャワーを浴びた後、彼の家へ行くと、茹でたジャガイモ、ミートボールがどどんと置かれ、男の料理…!という感じがした。農業学校では授業しているのかという話になり、彼は学校のことを話してくれた。私も農大卒であるため、色々似通った部分があった。教師や学生たちの人間関係、学習意欲など、先進国デンマークであっても、農業教育の現場で抱える問題が同じであることに少しショックを受けた。

 

話が弾み、授業内容を見せてくれるというので

書斎のパソコン前に座ると、彼は学校の授業で使うパワポの他、自分が載っている新聞やYou tubeの動画を見せてくれた。彼は以前、自ら養豚農家であり、GMの餌やグリホサホートがどれくらい危険であるか警笛を鳴らす第一人者であると言っても過言ではない人物だった。実はイヴはすごい人だったのだ!話に熱が入ると、なかなか解放してもらえず、動画などを見ているうちに気づけば深夜1時。すげー眠い!何もかも明日にして、部屋に戻ってすぐ寝た。

 

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